個人事業主・自営業の方は収入が安定していないためクレジットカードの審査に通りにくいです。そのため、個人事業主がクレジットカードの審査に通過するには会社員の方よりも年収が多く必要になります。
ここでは、個人事業主のクレジットカード審査が厳しい理由を解説し、審査に通りやすくする方法や申し込み時の注意点を解説します。
個人事業主がクレジットカード審査に通りにくい理由
個人事業主がクレジットカード審査に通りにくい理由を解説します。
収入が安定していない
クレジットカードの審査ではカード会社が申込者の返済能力を判断するため、収入が安定していない個人事業主は審査に通りにくいです。会社員の場合は毎月決まった給料が振り込まれますが、個人事業主は収入が多い月と少ない月があるので、審査に通過するためには会社員よりも年収が多く必要です。また、経営が上手くいかないと赤字決算になったり、廃業したりする可能性もあります。
一般的なクレジットカードは、年収100万円~150万円以上が審査通過目安と言われています。しかし、個人事業主は経済的に不安定なので、年収150万円だと審査に通らない可能性があります。カード会社はクレジットカード料金が返済されないと貸し倒れになるリスクがあるため、収入が安定していない職業の方には審査を慎重に行います。
クレジットカードの審査はカード会社によって審査基準が異なるため、個人事業主が審査通過するための必要年収はクレジットカードによって変わります。一例として、国税庁が公表しているデータでは個人事業主の平均年収は約380万円(年収の手取りは約260万円)となっていることから、問題なくクレジットカード料金を返済できると判断されて審査通過できる年収は約250万円~300万円程度でしょう。
独立から1年~3年は審査に通りにくい
個人事業主として独立して1年~3年間は事業実績が少なく収入が安定しているか判断できないため、クレジットカードの審査に通りにくいです。カード会社は申込者の一時的な収入ではなく、長期的な収入があるかを審査で判断します。個人事業主として独立したばかりで仕事が成功していても、長期的に安定した収入を得られる保証がないため審査は厳しいです。
個人事業主がクレジットカードを申し込む際には、独立して何年目なのかを「勤続年数」の欄に記入します。勤続年数が短いことは申し込み内容によってカード会社が把握するため、勤続年数が短いと通常よりも年収が多くないと審査に落ちる可能性があります。
事業内容がわからない
クレジットカードを作るときには職業を個人事業主として申し込みますが、申込者が具体的にどのような事業を行っているかカード会社は判断できません。毎月安定した収入がある事業を行っている方もいれば、収入がない月がある事業を行っている方もいます。会社員からのカード申し込みであれば、カード会社は申込者が務めている会社のホームページを見てどのような事業内容か把握できますが、個人事業主の場合はホームページがあっても本当に事業を行っているのか、具体的な取引先や事業内容はどうなっているか把握しにくいです。
ご自身のホームページで事業内容を公開している個人事業主の方でも、会社のホームページより信憑性がないため、クレジットカード審査ではあまり参考にされません。
収入証明書は原則として提出しない
クレジットカードの申し込み時には、カード会社に収入証明書を提出しません。そのため、入会審査では申し込み時に記入する自己申告の年収を元に返済能力を判断します。
独立・開業して1年以上経過している個人事業主の方は、前年度の確定申告書に記載されている「所得金額」を申し込み時の年収として記入します。所得金額は税金や特別控除を計算した後の金額です。手元に確定申告書の写しがない場合は、おおよその年収を記入しても問題ありません。
独立・開業して1年未満の個人事業主の方は年収が確定していません。そのため、毎月の売上から見込み年収を記入しましょう。1ヶ月の純利益(売上から経費を差し引いて手元に残る金額)が20万円だった場合、20万円×12ヶ月=年収240万円となります。
キャッシング枠を希望した場合は収入証明書が必要
クレジットカード申し込み時にお金を借りられる「キャッシング枠」を希望した場合、収入証明書の提出が必要になります。個人事業主が使用できる収入証明書は下記になります。
- 確定申告書の写し
- 所得証明書・課税証明書
- 納税証明書
確定申告書の写しは、確定申告をした際に手元に残る書類です。手元に確定申告書の写しがある場合は、コピーを取ってカード会社に提出しましょう。
所得証明書・課税証明書は、市役所や区役所で発行できる収入証明書で、所得金額が記載されています。確定申告をした方のみ発行できる書類なので、手元に確定申告書の写しがない場合は所得証明書・課税証明書を使用します。
納税証明書は、役所もしくは税務署で発行できる書類です。役所が発行する納税証明書には所得金額が記載されないため、納税証明書を収入証明書として使用する場合は税務署が発行する必要があります。税務署で「所得金額の証明書がほしい」と伝えれば発行してもらえます。
開業届を出していなくても審査に通る?
開業届を出さずに個人事業主として活動している方でも、クレジットカードの審査に影響はありません。開業届は税務署に提出しなくても罰則などはなく、カード会社が開業届の提出を調べることはありません。
確定申告していなくても審査に通る?
確定申告をしていなくてもクレジットカードの審査に影響はありません。確定申告は所得税を支払うための手続きなので、クレジットカードの審査に関係なく、カード会社が申込者の確定申告を調べることもありません。また、個人事業主の方でも年間の売上金額や控除によっては確定申告を行う必要がないケースもあります。
個人事業主がクレジットカード審査に通る方法
個人事業主がクレジットカード審査に通る方法を解説します。
個人事業主向けクレジットカードを申し込む
カード会社によっては、個人事業主向けクレジットカード(法人カードの一種)を発行しています。個人事業主向けクレジットカードは、通常は審査が厳しい個人事業主の方でも作れるよう、個人事業主の方向けに審査基準が設定されています。そのため、個人事業主の方は通常のクレジットカードを申し込むよりも、個人事業主向けクレジットカードを申し込んだ方が審査に通りやすいです。
個人事業主向けクレジットカードは事業の経費精算がしやすい機能が付いていたり、事業者向けの特典が付いていたりします。
クレジットカード申し込み時に屋号を入力する
個人事業の名前となる屋号がある場合は、クレジットカード申し込み時に屋号を記入しましょう。開業届を提出する際に屋号を設定していた場合、個人事業主として活動していることがわかるため、カード会社から信用を得られます。クレジットカードの申し込み時「勤務先の会社名」の欄に「個人事業主で屋号がある場合は記入してください」と書かれています。
できるだけ独立前・開業前にクレジットカードを作る
個人事業主は会社員よりも審査に通りにくいので、現在会社務めで個人事業主として開業予定であれば、開業前にクレジットカードを作るのがおすすめです。会社員のときに作ったクレジットカードは個人事業主として開業してからもそのまま使えます。クレジットカードは一度カード発行してしまえば、その後の更新審査や与信審査で審査に落ちてカード利用停止になる可能性は低いです。
キャッシングは必要な場合のみ申し込む
クレジットカードの申し込み時にキャッシング枠を希望すると、収入証明書が必要になります。収入証明書を提出すると正確な年収がカード会社に伝わるので、年収が低い個人事業主の方は審査に通りにくくなります。
また、キャッシングはお金を借りる機能なので、クレジットカード機能とは別にキャッシング審査が行われます。キャッシング審査はクレジットカード審査よりも審査基準が厳しいため、審査に通りにくい属性である個人事業主の方はキャッシング枠の申し込みを避けた方が良いです。
審査が厳しいクレジットカードは避ける
クレジットカードを発行しているカード会社によって審査の厳しさが変わります。高い年収や信用力が必要となるゴールドカードや銀行系クレジットカードなどは審査が厳しいため、個人事業主の方は審査が厳しいクレジットカードは避けた方が良いでしょう。
個人事業主向けクレジットカードなら、個人事業主の方に対する審査基準で審査を行ってくれます。個人事業主向けのクレジットカードでもゴールドカードがありますが、ゴールドカードは審査通過するために年収300万円以上が必要と言われているため、年収300万円未満の方はゴールドカードの申し込みは避けた方が良いです。
個人事業主に対して審査が甘いクレジットカードはある?
クレジットカードは必ず入会審査が行われ、カード会社によって審査基準は異なるため、審査が甘いクレジットカードは存在しません。しかし、申し込み資格に具体的に「年収○○円以上必要」と記載がなければ幅広い方が申し込みできるクレジットカードです。
申し込み資格に具体的な年収条件がないクレジットカード
下記の個人事業主向けクレジットカードは、申し込み資格「年齢18歳以上」「安定した収入が必要」などの条件がありますが、具体的に年収がいくら必要という記載はありません。申し込みして審査に通れば個人事業主でも問題なくカード発行できます。
- オリコEX Gold for Biz
- 楽天プレミアムカード
- JCB法人カード
個人事業主がクレジットカードを申し込む際の注意点
個人事業主がクレジットカードを申し込む際の注意点を解説します。
事業用のクレジットカードは事業支払いとして申し込む
クレジットカードの申し込み時には「カード利用目的」「カード取引目的」という項目があります。個人事業主の方で事業費を支払うためにカードを作るなら「事業費支払い」を選択しましょう。プライベートのお買い物でクレジットカードを使用する場合は「ショッピング支払い」、クレジットカードのキャッシング機能を使うなら「キャッシング利用」を選択します。
カード利用目的は複数選択可能なので、「事業費支払い」と「ショッピング支払い」の両方を選択することも可能です。しかし、事業費支払いとショッピング支払いを同じクレジットカードで行うと経費精算や確定申告の処理が面倒になるため、事業用クレジットカードとショッピング用クレジットカードは個別に作った方が良いです。
- 事業費支払い:事業費の支払いで利用する
- ショッピング支払い:通常のお買い物で利用する
- キャッシング利用:現金を借りるキャッシングを利用する
引き落とし銀行口座の登録に注意
クレジットカードはカード作成時に引き落とし口座を設定しますが、事業費支払い用カードを作るなら事業用の銀行口座を引き落とし口座として設定しましょう。事業用の銀行口座を引き落とし口座として設定すれば、事業費支払い用カードの支払い分が経費支払い分として記帳が行われるため、後からプライベートの支払いか事業用の支払いかわかりやすいです。
仕事とは関係ない支払いクレジットカードは、プライベート用の銀行口座を引き落とし口座として設定しておけば問題ありません。銀行口座を1つしか持っていない場合は、事業用クレジットカードだったとしても個人用の銀行口座を引き落とし口座に設定しても問題ないです。
自営業と自由業の間違いに注意
クレジットカードの申し込み時に職業欄で「自営業」と「自由業」が分かれている場合があります。自営業とは個人事業主全般のことで、営業時間が決まっているお店を経営している方などは「自営業」を選択します。自由業とは時間に縛られずに仕事をしている方のことで、フリーランス・作家・カメラマン・農家などの職業が自由業です。
- 自営業:個人事業主として働いている方、お店を経営している方
- 自由業:時間に縛られず仕事をしている方(フリーランス・作家・カメラマン・農家など)
「自由業」は「自営業」に含まれるため、フリーランスや作家の方などが自営業としてクレジットカードを申し込むことは可能です。しかし、自営業を選択すると事務所やお店の情報を記入する必要があるため、時間に縛られず働いている方は自由業として申し込んだ方が良いです。