海外旅行傷害保険の適用条件や補償内容

海外旅行に行く場合、海外旅行中のケガや病気が補償される海外旅行傷害保険は必須です。しかし、具体的にどのような条件で保険が適用されるのか、補償内容ごとにいくら補償金額があれば良いのかわからない方も多いと思います。

ここでは、海外旅行傷害保険の適用条件と補償内容について解説します。

海外旅行傷害保険の適用条件

海外旅行傷害保険の適用条件には「自動付帯」と「利用付帯」の2種類があります。自動付帯とはクレジットカードを持っているだけで適用される保険、利用付帯とはクレジットカードで旅行の交通費を支払った場合に適用される保険です。

  • 自動付帯:クレジットカードを持っているだけで適用される保険
  • 利用付帯:クレジットカードで旅行の交通費を支払った場合に適用される保険

自動付帯の海外旅行傷害保険

クレジットカードの海外旅行傷害保険が自動付帯の場合、クレジットカードを持っているだけで保険が適用されます。クレジットカードのカード会員であれば海外旅行傷害保険が適用されるので、海外旅行にクレジットカードを持っていくのを忘れた場合でも保険が適用されます。

自動付帯のクレジットカードを持っている場合、旅行前にカード会社に連絡して手続きを行う必要はありません。

ただし、旅行中に病気やケガなどがあって海外旅行傷害保険が必要になった場合、カード会社に連絡しなければいけません。旅行中、手元にクレジットカードがないとカード会社に連絡してもカード番号がわからず、保険の手続きがスムーズに行われません。自動付帯の海外旅行傷害保険でも、旅行にクレジットカードを持っていきましょう。

利用付帯の海外旅行傷害保険

クレジットカードの海外旅行傷害保険が利用付帯の場合、旅行の交通費をクレジットカードで支払わなければ保険が適用されません。旅行の交通費とは、電車やバスなどの公共交通機関、飛行機のチケット代金、旅行ツアー代金などです。

利用付帯の海外旅行傷害保険は、カード会社によって保険の適用条件が多少異なります。たとえば、「旅行前の交通費を国内で支払った場合のみ適用」と定めているカード会社などがあります。海外旅行傷害保険が利用付帯の場合は、カード会社のホームページで保険の適用条件を確認しましょう。

カード会社に連絡しないと保険金はもらえない

病気やケガで病院を利用したとしても、カード会社に連絡して保険金を請求しなければ保険金はもらえません。多くのカード会社は、保険金の請求期間の期限を事故発生から1ヶ月以内としています。

海外旅行傷害保険の保険金が降りるような事故があった場合、できるだけ早くカード会社に連絡しましょう。カード会社の混雑状況によって素早く対応してくれない場合があり、手続きに時間がかかる可能性があるからです。

また、保険金の請求には下記のような書類が必要になります。病院の利用、海外キャッシングの利用、事故の示談、物品の修理などがあった際には、書類を必ずもらって大切に保管しておきましょう。

  • 医師の診断書
  • 医療費の領収書
  • 事故証明書
  • 示談書
  • 修理見積書
  • キャッシング利用の明細書・レシート

海外旅行傷害保険の補償期間

海外旅行傷害保険の補償期間は、一般的に日本を出国してから3ヶ月間(90日間)です。3ヶ月を過ぎると海外旅行傷害保険が適用されなくなり、ケガや病気があったとしても補償されません。

一度日本に帰国して再出国すれば、再度3ヶ月間は海外旅行傷害保険が適用されます。旅行期間が長くなった場合、一度日本に帰国するのも1つの手段です。

3ヶ月以上の旅行では旅行会社の海外旅行保険に加入する

クレジットカードの海外旅行傷害保険では3ヶ月間しか保険が適用されないため、3ヶ月以上の長期旅行や留学では旅行会社の海外旅行保険に加入するのが一般的です。

旅行会社の海外旅行保険は、保険のプランや加入期間によって保険料が異なります。保険料が高いプランほど補償金額が高くなり、加入期間が長いほど保険料は高くなります。旅行会社によりますが、保険料は1ヶ月あたり1万円~2万円程度です。

海外旅行傷害保険の補償内容

海外旅行傷害保険は下記6つの補償内容に分かれています。中でも、病気になった際に補償される疾病治療費用と、ケガをしたときに補償される傷害治療費用の補償金額が重要です。

補償内容 補償される条件 必要な補償金額
疾病治療費用 病気で入院・通院・手術が必要になった場合 200万円~300万円
傷害治療費用 ケガで入院・通院・手術が必要になった場合 200万円~300万円
携行品損害 旅行中の偶発的な事故で旅行用品(携帯電話やカメラなど)が壊れた場合 30万円~50万円
個人賠償責任 偶発的な事故で他人にケガを負わせたり物を壊したりした場合 2,000万円
救援者費用 遭難などで救助が必要になった場合 200万円~300万円
傷害死亡・後遺障害 ケガで死亡した場合、もしくは後遺障害が残った場合 1,000万円

海外旅行中の事故があった際、最も利用される補償内容は疾病治療費用と傷害治療費用です。補償を利用する可能性が高いということは、補償金額は高い方が良いということになります。

疾病治療費用

疾病治療費用は、病気で入院・通院・手術が必要になった場合に補償される保険です。クレジットカードの海外旅行傷害保険では、100万円~200万円補償されるカード多いです。

しかし、疾病治療費用の補償金額は200万円~300万円必要と言われています。海外の医療費は日本よりも高いので、仮に盲腸で手術を行うと200万円~300万円の手術費がかかります。そのため、海外旅行傷害保険付きのクレジットカードを1枚持っていても、疾病治療費用の補償金額が低ければ十分ではない可能性があります。

また、海外には日本にない感染症やウイルスがあり、日本人が旅行中に病院を利用する機会は多いです。大きな病気で高額な医療費がかからなかったとしても、疾病治療費用の保険は利用する可能性が高いので重視した方が良いです。

傷害治療費用

傷害治療費用は、ケガで入院・通院・手術が必要になった場合に補償される保険です。クレジットカードの海外旅行傷害保険では、100万円~200万円補償されるカードが多いです。

傷害治療費用の補償金額は200万円~300万円必要と言われています。海外で骨折した場合、50万円~300万円の手術費がかかります。実際に海外で骨折した人が総額290万円かかったという記事もあります。

日本と海外では環境が違うので、海外旅行中はアウトドアやスポーツでケガをする可能性が高くなります。また、普通に道路を歩いていたとしても自動車事故に巻き込まれる可能性もあります。傷害治療費用は最低でも200万円以上確保しておいたほうが良いです。

携行品損害

携行品損害は、旅行中の偶発的な事故で旅行用品が壊れた場合に補償される保険です。クレジットカードの海外旅行傷害保険では、10万円~100万円補償されるカードが多いです。

携行品損害は、30万円~50万円補償されれば十分でしょう。カメラ、携帯電話、高級なバッグなどの身の回り品は、ほとんどの場合30万円~50万円補償されれば全額補償されることになります。海外に高級な物品を持ち込む場合には、持ち込むものの金額に合わせて携行品損害の補償金額を調整しましょう。

個人賠償責任

個人賠償責任は、旅行中の偶発的な事故で他人にケガを負わせたり物を壊したりした場合に補償される保険です。クレジットカードの海外旅行傷害保険では、1,000万円~2,000万円補償されるカードが多いです。

個人賠償責任は、2,000万円補償されれば十分でしょう。旅行中に事故で他人の車を傷つけたとしても、ホテルの部屋に置いてある物品を壊したとしても2,000万円補償されれば全額補償されるケースがほとんどです。

救援者費用

救援者費用は、旅行中に遭難などで救助が必要になった場合に補償される保険です。クレジットカードの海外旅行傷害保険では、100万円~300万円補償されるカードが多いです。

救援者費用は、200万円~300万円補償されれば十分です。たとえば、山で遭難しても救護者費用として100万円~200万円の費用がかかるのが一般的です。旅行中に登山など遭難する恐れがあるアウトドアを楽しむのであれば、救援者費用が高いクレジットカードを選ぶと良いです。

傷害死亡・後遺障害

傷害死亡・後遺障害は、ケガで死亡した場合、もしくは後遺障害が残った場合に補償される保険です。病気で死亡・後遺障害が発生しても補償されません。クレジットカードの海外旅行傷害保険では、1,000万円~1億円の補償金額が設定されていて、カードによって補償金額の差が激しいです。

傷害死亡・後遺障害はどれくらいあれば良いと一概には言い切れませんが、葬儀やお墓にかかる合計費用は300万円~400万円と言われています。必要最低限の補償金額としては1,000万円でしょう。

複数の海外旅行傷害保険は補償金額が合算される

クレジットカードを複数枚持っていた場合、海外旅行傷害保険の補償内容のうち死亡傷害・後遺障害以外は補償金額が合算されます。たとえば、疾病治療費用100万円のカードAと疾病治療費用100万円のカードBを持っていた場合、カードAとカードBの疾病治療費用が合算されて200万円補償になります。

補償内容 補償金額の合算
疾病治療費用 合算される
傷害治療費用 合算される
携行品損害 合算される
個人賠償責任 合算される
救援者費用 合算される
傷害死亡・後遺障害 最も高い補償金額が適用される

補償金額は高い方が良いので、海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードは多く持っている方が安心です。年会費無料で海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードもあるので、現在持っているクレジットカードでは補償金額が足りない場合は年会費無料のクレジットカードを追加発行することで費用をかけず補償金額を高められます。

ただし、同じカード会社が発行するクレジットカードは補償金額が合算されない場合があります。クレジットカードの利用規約や海外旅行傷害保険の規約に「当社のクレジットカードを複数枚持っていても補償金額は合算されない」と記載がある場合、補償金額は合算されません。

海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードの選び方

海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードの選び方を解説します。

疾病治療費用と傷害治療費用の補償金額

このページで解説している通り、疾病治療費用と傷害治療費用の補償金額は海外旅行傷害保険の補償内容で最も重要です。疾病治療費用と傷害治療費用の補償金額が高いクレジットカードを選びましょう。

疾病治療費用と傷害治療費用の補償金額は高ければ高いほど良いです。盲腸と骨折を基準として、補償金額は200万円~300万円が必要と解説しましたが、さらに医療費が高い病気やケガにあった場合は医療費を自身で負担する必要があります。海外で必ず高額な医療費が発生するとは限りませんが、海外旅行傷害保険付きのクレジットカードを複数枚申し込んで、できるだけ補償金額の合計額を上げておきましょう。

海外旅行傷害保険付きの年会費無料カード一覧

クレジットカード名 疾病治療費用 傷害治療費用
楽天カード 最高200万円 最高200万円
JCB CARD W 最高100万円 最高100万円
エポスカード 最高270万円 最高200万円
学生専用ライフカード 最高200万円 最高200万円

キャッシュレス診療

キャッシュレス診療とは、病気やケガがあったときに医療費をカード会社が直接支払ってくれるサービスです。高額な医療費を旅行者が立て替える必要はありません。ただし、キャッシュレス診療のサービスを受けられる病院は、カード会社が提携している病院のみです。カード会社は大規模な病院や都市部にある病院と提携していることが多く、旅行先や病院によってはキャッシュレス診療を受けられない可能性もあります。

キャッシュレス診療のサービスは多くのクレジットカードに付帯しています。そのため、基本的にはキャッシュレス診療のサービスは受けられると考えておいて良いでしょう。一部のカード会社はキャッシュレス診療に対応していないので、念のため旅行前にサービスを利用できるか確認しておきましょう。

家族にも海外旅行傷害保険が適用されるか

クレジットカードの海外旅行傷害保険には、家族にも保険が適用される家族特約という制度があります。クレジットカードによって家族特約があるカードとないカードがあり、基本的には家族特約は付いていません。家族特約付きのクレジットカードは年会費有料のクレジットカードやゴールドカードに付いていることが多いです。

家族特約は必ず家族全員に保険が適用されるわけではありません。クレジットカードによって「配偶者と子供(家族全員)」「配偶者のみ」「子供のみ」など保険適用の範囲が違います。

クレジットカードは18歳以上の方だけが作れるので、18歳未満の子供がいる場合は家族特約で補償するか、旅行会社の海外旅行保険に加入するしかありません。旅行会社の海外旅行保険は保険料が高いので、家族旅行に行くのであれば家族特約付きの年会費有料カードを作るのがおすすめです。

年会費と補償内容を比較して選ぶ

海外旅行保険が付いている年会費無料のクレジットカードであれば、何枚持っていても損することはありません。クレジットカードを多く持っているだけ海外旅行傷害保険の補償金額の合計金額は高くなるので、年会費無料のクレジットカードなら迷わず申し込んで良いでしょう。

年会費有料のクレジットカードは、海外旅行傷害保険の補償金額が高い傾向があります。複数枚クレジットカードを持ちたくない方、できるだけ海外旅行傷害保険の補償金額合計を高めたい方は、年会費有料のクレジットカードを申し込むのがおすすめです。ただし、年会費有料のクレジットカードでも海外旅行の特典に力を入れていないカード会社の場合、補償金額が低い場合があります。今回紹介した海外旅行に必要な補償金額を目安にして、自身が納得できる補償金額になるクレジットカードを申し込みましょう。