海外は日本と違ってクレジットカード支払いが一般的です。クレジットカードがないと支払いできない場合もあり、留学にはクレジットカードが必須です。
また、クレジットカードには「海外キャッシング機能」「海外旅行傷害保険」「カード盗難時の補償」など、留学に向いている機能が備わっています。
ここでは、留学にクレジットカードが必要な理由と、留学に向いているクレジットカードの選び方を解説します。
留学にクレジットカードが必要な理由
留学にクレジットカードが必要な理由を解説します。
クレジットカード必須の支払いがある
海外では国によって現金で払えない支払いがあり、クレジットカードがないと不便です。たとえば、「マンションやアパート家賃支払いはクレジットカードのみ」「携帯電話料金の支払いはクレジットカードのみ」などです。毎月支払う必要がある定期支払いはクレジットカードでしか支払えないことが多いです。
また、海外でホテルを予約するときやレンタカーを借りる際、現金支払いだとデポジット(保証金)を請求されます。デポジットはホテルをチェックアウトする際やレンタカーを返した際にお金が返却されますが、サービスによって料金の2倍~5倍のデポジットが必要なのでクレジットカードを持っておいた方が良いです。
海外旅行傷害保険が付いている
クレジットカードの海外旅行傷害保険とは、旅行中・留学中にケガや病気があったとき保険金が支払われる保険です。海外の医療費は日本よりも高く、国によっては日本の2倍~5倍の医療費を請求されることもあり、留学では海外旅行保険が必須です。
クレジットカードは海外旅行傷害保険が付いているカードと付いていないカードがあります。留学のためにクレジットカードを作るなら、海外旅行傷害保険付きのクレジットカードを選びましょう。
海外キャッシングで現地通貨を引き出せる
海外キャッシングとは、海外ATMで現地通貨(現金)を引き出せるサービスです。海外では空港・銀行・両替所で日本円を現地通貨に両替できますが、両替よりも海外キャッシングの方が手数料は安くなることがほとんどです。
また、現金が必要なときにATMがあればいつでも現地通貨を引き出せるので、現金両替よりも利便性が高いです。海外キャッシングのメリットや利用方法は「海外キャッシングのメリット・注意点・利用方法を解説」のページで解説しています。
現金は盗難の被害に遭う可能性がある
留学中に現金を持ち歩くと盗難や紛失の恐れがありますが、クレジットカードならなくしてもカード会社に連絡してカード利用一時停止にでき、不正利用されたとしても盗難補償で全額補償されます。
留学する国によっても治安は異なりますが、基本的に日本よりも海外は治安が悪いです。クレジットカードで支払えるお店ではクレジットカード支払いして、現金支払いしかできないお店では現金支払いするのが安全です。現金は必要最低限の金額だけ持ち歩くようにしましょう。
留学に持っていくクレジットカードの選び方
留学に持っていくクレジットカードは、下記の基準で選びましょう。
項目 | 留学用クレジットカードを選ぶ基準 |
---|---|
国際ブランド | VISAかMastercard |
海外旅行傷害保険 | 海外旅行傷害保険が付いているカード |
海外キャッシング | 金利手数料が安いカード |
留学中のトラブル対応 | 留学中のトラブルに対応してくれるカード会社 |
年会費 | 年会費無料のカード |
国際ブランド
クレジットカードには「VISA」「Mastercard(マスターカード)」「JCB」「アメリカン・エキスプレス・カード」「ダイナースクラブ」などの国際ブランドがありますが、海外で加盟店数が多い国際ブランドはVISAとMastercardです。他の国際ブランドは全く支払いできないわけではありませんが、支払いに対応しているお店が少ないです。
日本ではクレジットカードの一括払いで手数料はかかりませんが、海外では一括払いでも手数料がかかります。クレジットカード支払いの手数料は国際ブランドやカード会社によって異なりますが、下記のように手数料に違いはほとんどありません。
国際ブランド | 手数料 |
---|---|
VISA | 1.63% |
Mastercard | 1.63% |
JCB | 1.60% |
アメリカン・エキスプレス・カード | 2.00% |
ダイナースクラブ | 1.30% |
※カード会社によって手数料が多少違う場合があります。
たとえば、VISAのクレジットカードで1,000円支払った場合、手数料は16.3円です。JCBのクレジットカードでも1.60円なので、国際ブランドによって手数料の違いはほとんどありません。
そのため、国際ブランドは手数料で選ぶのではなく、海外で支払いに対応している加盟店数が多いクレジットカードを選ぶのが良いです。留学に持っていくクレジットカードは加盟店数が多いVISAかMastercardを選びましょう。
海外旅行傷害保険
留学中にケガや病気があった際に補償されるよう、海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードを選びましょう。海外旅行傷害保険付きのクレジットカードを選ぶ際には、「保険適用の条件はどうなっているか」と「補償内容・補償金額が十分か」を確認して選びましょう。
保険適用条件が「自動付帯」か「利用付帯」か確認する
クレジットカードの海外旅行傷害保険は「自動付帯」と「利用付帯」の2種類があります。自動付帯はクレジットカードを持っているだけで適用される保険、利用付帯はクレジットカードで旅行・留学の交通費を支払った場合に適用される保険です。
- 自動付帯:クレジットカードを持っているだけで保険適用
- 利用付帯:クレジットカードで旅行や留学の交通費を支払った場合に保険適用
基本的には、クレジットカードを持っているだけで適用される自動付帯の保険が付いているクレジットカードを選ぶと良いです。利用付帯のクレジットカードでも、旅行の交通費を支払うのを忘れなければ特に問題はありません。
利用付帯の保険は「日本を出国する前に交通費を支払った場合のみ適用」など条件を付けているカード会社もあります。海外旅行傷害保険が利用付帯のクレジットカードの場合、持っているクレジットカードの保険適用条件を確認しておきましょう。
補償内容は「疾病治療費用」と「傷害治療費用」が重要
海外旅行傷害保険付きのクレジットカードを選ぶときは「疾病治療費用」と「傷害治療費用」の補償金額に注目しましょう。疾病治療費用とは留学中の病気で入院・通院・手術が必要になった場合に補償される保険、傷害治療費用とは留学中のケガで入院・通院・手術が必要になった場合に補償される保険です。
補償内容 | 補償される条件 |
---|---|
傷害死亡・後遺障害 | ケガで死亡した場合、もしくは後遺障害が残った場合 |
疾病治療費用 | 病気で入院・通院・手術が必要になった場合 |
傷害治療費用 | ケガで入院・通院・手術が必要になった場合 |
個人賠償責任 | 偶発的な事故で他人にケガを負わせたり物を壊したりした場合 |
救援者費用 | 遭難などで救助が必要になった場合 |
携行品損害 | 留学中の偶発的な事故で旅行用品(携帯電話やカメラなど)が壊れた場合 |
疾病治療費用と傷害治療費用は、それぞれ200万円以上補償されていると安心です。留学先の国によっても医療費は異なりますが、仮に盲腸の手術が必要になったとしても200万円程度の補償金額で補えることが多いです。
海外旅行傷害保険が付いているクレジットカードでも疾病治療費用と傷害治療費用が100万円だと補償金額が少なく、手術や入院が必要になったときに保険金以上の医療費がかかる可能性もあります。
海外旅行傷害保険付きのクレジットカードを2枚以上持っている場合、補償内容のうち疾病治療費用や傷害治療費用は補償金額が合算されます。たとえば疾病治療費用と傷害治療費用が100万円補償のクレジットカードを2枚持っていた場合、100万円+100万円=合計でそれぞれ200万円補償になります。
海外旅行傷害保険の補償金額が少なくて不安な場合は、クレジットカードを追加で発行して海外旅行傷害保険の補償金額を上乗せしましょう。
海外キャッシングの金利手数料
クレジットカードの海外キャッシングを利用すると、カード会社が設定している金利手数料がかかります。海外キャッシングの金利手数料は18.0%に設定しているカード会社が多いですが、一部のクレジットカードは海外キャッシングの金利手数料が安く設定されています。
たとえば、18歳~25歳の学生だけが申し込める学生専用ライフカードは、海外キャッシングの金利手数料が実質年率15.0%です。海外キャッシングの金利手数料が実質年率18.0%未満のクレジットカードはほとんどありませんが、長期留学で海外キャッシングを頻繁に利用するのであれば、金利手数料が安いクレジットカード選んだ方が良いです。
留学中のトラブルに対応してくれるカード会社か
カード会社によっては、留学中にクレジットカードのトラブルがあったときに対応してくれるサポートデスクがあります。サポートデスクでは、クレジットカードの紛失やパスポートの紛失があったときに緊急で対応してくれます。
クレジットカードの紛失があったら、紛失したクレジットカードを一時停止して新たしいクレジットカードを留学先に発送してくれます。パスポートの紛失であれば、紛失の連絡をしなければいけない日本大使館の連絡先を教えてくれたり、留学先の国によって対応方法を教えてくれたりします。
留学用にクレジットカードを作るなら、留学中にトラブルがあったときに対応してくれるカード会社を選びましょう。
年会費
クレジットカードは年会費無料と年会費有料のカードがありますが、留学では複数枚のクレジットカードを持っていく必要があるので年会費無料のクレジットカードを選ぶと良いです。年会費有料のクレジットカードを作ると、留学が終わって日本に帰国した後も年会費がかかり続けてしまうので、出費が多くなってしまいます。
ただし、年会費有料のクレジットカードは海外旅行傷害保険の補償金額が高く設定されたいたり、空港ラウンジを無料利用できたりする特典が付いているカードもあります。自身が利用したい特典が付いているなら、年会費有料のクレジットカードを選んでも良いです。
留学に持っていくクレジットカードの枚数
留学にはクレジットカードを2枚以上持っていくのが良いと言われていますが、持っていくクレジットカードの枚数は多ければ多いほど安心です。
海外では、急にクレジットカードが使えなくなることが頻繁に起こります。カード会社の対応が遅れて、複数枚のクレジットカードが同時に使えなくなることもあります。
クレジットカードの枚数 | 留学中の安心度 |
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1枚 | 急にカードが使えなくなったときに困る |
2枚 | 同時に2枚ともカードが使えなくなったときに困る |
3枚~5枚 | カードが全て使えなくなる可能性は低いので安心 |
日本でクレジットカードの決済エラーはほとんど発生しませんが、海外ではインフラが発達していなかったり、日本のクレジットカードを使うことによりエラーが発生したりします。
海外でクレジットカードが使えなくなる理由
- 海外で日本のクレジットカードを使ったことにより起きる通信エラー
- 海外のセキュリティチェックによるエラー
- クレジットカードに付いているICチップの故障
- カード会社の不正利用監視システムで一時停止になっている
- クレジットカードの有効期限が切れている
- 利用限度額(ショッピング枠・キャッシング枠)をオーバーしている
留学中にクレジットカードが使えなくなると支払いができなくなったり、ATMで現金を引き出せなくなったりするので、クレジットカードは3枚~5枚持っていくのをおすすめします。